TAMAKI MADOKA'S WORKS

作詩活動に励んでいます。ご覧いただけると嬉しいです。

詩「わたしのこども」

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パタパタと忙(せわ)しく駆ける
追いかけることが
逃げることが
ただただ無性に楽しくて

「わたしはここにいるよ」
声にならない叫びが
ママ パパ と呼ぶ声が
まだまだ手がかかるなと笑わせて

階段を一段一段踏みしめながら登る
登って降りることが
座って立つことが
ただただ新鮮で楽しくて

「わたしはこんなきもちだよ」
甘えるような高い声が
(うな)るような低い声が
さまざまな声が 言葉が 成長を感じさせる

「ぼくのもの」「わたしのもの」
「見て見て」「聞いて聞いて」
親を独り占めしたい気持ちは愛らしい

ずっと見守ってあげるね
ずっと見守らせてね
心がじんわりと温かくなる

階段を登るのが早くなって
一段飛ばしで登るようになって
危ないよって言っても聞かなくなって
いつの間にか遠くに行って

それでも遠くから見守ってるよ
いつでも温かく迎えてあげるよ
あなたはいつまでも わたしのこども

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執筆後記

お昼過ぎに地区センターのカフェにいた時のこと。
元気な子供たちは耳をつんざくような声をあげながら走り回り、
階段を昇り降りしながら走り回ってはお母さんに注意されていた。
注意されながらもきゃっきゃと楽しそうだった。
その姿を書き起こしたのがこの詩です。
柔らかに優しい語り口で書いてみました。

詩「謎々」

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正答は不正解

正当性はないようでない

在り得ないことなんてない

 

視界が記憶した世界

生活に疲弊した所為かい

 

回答こそ正解

正当性は初めからない

在り得るなんていらない

 

視界を一掃して全開

単純に思考して正解

 

正しいものほど疑わしい

大勢言うほど訝(いぶか)しい

難しいと思うほど難しい

単純に思うほど正しい

 

迷わす言葉 謎々

真っ直ぐ捉え 在り在り

誰かの言葉 嫌々

心底の訴え 生き生き

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執筆後記

これまで具体的な事象や物事を主題にして作詩していましたが、

謎々という抽象的な概念、実在しないものを主題にしたので、

「謎々」とは何なのか、という事をまずは考えました。

なので、その思考回路を後記に下記のように書きました。

 

謎々とは

質問は、ありもしないような突飛で超飛躍的な内容なものから、

超単純そうで幼稚な内容まであり、

その答えは、真っ向から考えてはいけないもので、

肩透かしを食らうようなものが多く、

言葉遊びを楽しむ感覚や質問の捉え方の角度が重要となる。

 

単純そうなものほど、感嘆するほど単純で、

複雑そうなものほど、溜息するほど単純で、

つまり、単純な考え方ほど答えを見つけ出せる。

 

難しそうだと思い込むことがやってはいけないことで、

思い込み、憶測、邪推が間違った答えへと導いてしまう。

謎を深めるのは自分自身。

簡単じゃないと思い込んでしまう私の所為。

 

そんな謎々の意味から、

隠れてしまった、誤魔化してしまった自分の本音や思いを

謎々にかけて作詩しました。

 

難しく考えず、単純に考えること。

そうすれば、自分の答えが見つけられるという詩です。

 

抽象的な主題だったため、詩的な情景が思い描けず、

いつもとは違う文体になってしまいました。

また、いつもに増して韻を意識したりしたので、

どことなく作詩というより作詞のような感じがあるかもしれません。

詩の文体やクオリティにバラつきやムラがありますが、

このような主題にも挑戦していきたいと思います。

 

以上、執筆後記でした。

ご覧くださり、ありがとうございました。

詩「冷え症」

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爪先 掌(てのひら) 包みたくて
身を屈める 殻に引き籠もる
芯まで冷えた 指丸めて
頭も丸まる 丸くなる

目が閉じて 冷えが薄れて
包まれ 温(ぬく)まる 安らかに
胸の音(ね) 穏やか 波のよう
揺り籠 赤子の夢を見る

 

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執筆後記

冷え症というと、冷たくて寂しいようなイメージ。
そうしたくないなと思いながら、夢想してみました。
夜寝る前に冷え症で足先が冷えて、段々と身体が丸くなって。
まるで胎児のような姿で温もりに包まれるのではないか。
そう思い、冷え症を心温まる詩にしました。

詩「風邪」

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膨らんだ鼻に 風がすっと
余計に洟(はな)が冷たくなった
奥の奥まで 熱さが冷える
ただの風邪 目頭は気のせいで

顎を上げた 瞼は閉じた
閉じた内側 熱く溢れる
こんな風邪は 初めてかもな
長引きそうだ 胸苦しい枷(かせ)

瞼に溢れる 何故 何故 何故

 

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執筆後記

Twitter「#君色の詩」のお題「かぜ」について、風邪を主題に作詩。
涙が溢れそうになりながら、風邪に過ぎないと誤魔化そうとする。
でも消えぬ悲しさに苦しみ、嘆き問う。

 

 

詩「酸欠」

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繋げられた金魚鉢
詰め込まれる金魚たち
大小様々 水面遠く
埋もれていく弱者 小者(こもの)

息が吸いたい パクパクと
口が忙(せわ)しく開閉し
助けてほしい ポチポチと
液晶叩いて逃避する

押し合い 圧(へ)し合い 潰し合い
愛なきエゴに 苛立ち 疲弊
日々の疲労感 神経衰弱
擦り減る心身 意志薄弱

酸素不足 意識遠のく
詰め込まれた金魚 色褪せる
運ばれる生命(いのち) 行き着いた先
与えられた輝き 私の価値

 

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執筆後記

毎朝 出勤時間の電車。
すし詰めの満員電車は息苦しい中で過ごす私たちは金魚のように見えました。
息を必死に吸おうとする姿、死にたくない、でも毎日が苦しいと感じる姿。
そんな憂鬱を詩にしました。
救われない詩ですが、悪しからず。